バラバラの3人が織りなす奇跡のアンサンブル――THE ALFEEが築いた「誰も真似できない」唯一無二のジャンル

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THE ALFEE(ジ・アルフィー)の歩みは、1973年、明治学院大学のキャンパスで高見沢俊彦、坂崎幸之助、桜井賢の3人が出会ったことから始まった。1974年、アイドルフォークグループ「ALFEE」としてビクターからシングル「夏しぐれ」でメジャーデビュー。しかし、初期の活動は決して順風満帆ではなく、レコード会社からの契約解除や、ヒット曲に恵まれない過酷な下積み生活を経験することになる。

転機となったのは、研ナオコらのバックバンドを務めながら演奏技術を磨き、自らの音楽性をアコースティックから本格的なロックサウンドへとシフトさせていったことだ。1979年にキャニオン・レコード(現・ポニーキャニオン)から再デビューを果たし、1983年に発表したシングル「メリーアン」がオリコン週間チャート上位に食い込む大ヒットを記録。翌1984年の「星空のディスタンス」でその人気を不動のものとした。以降、半世紀以上にわたり一度も活動休止することなく、日本のバンド界における最多コンサート動員記録を更新し続ける、まさに生ける伝説である。

フォークか、ハードロックか、歌謡曲か:誰も定義できない「ALFEE」というジャンル

彼らの音楽を一つの既存ジャンルに当てはめようとすると、誰もが言葉に詰まる。

アコースティックギターをかき鳴らすフォークの叙情性を持ちながら、ツインネックギターが唸りを上げる重厚なハードロックを展開し、プログレッシブ・ロックの長大な曲構成を取り入れたかと思えば、誰もが口ずさめるキャッチーな歌謡曲のフックを叩き込む。繊細なコーラスワークと過剰なまでのディストーションサウンドが平然と同居するそのスタイルは、まさに「バンドなのか何なのかわからない」未知の領域だ。ジャンルの壁を軽々と飛び越え、すべてを飲み込んで自らの血肉に変えてしまうスケールの大きさこそが、誰にも真似できない「THE ALFEE」という唯一無二のジャンルを確立させた。

酒屋の息子でビートルズオタク:バンドの土台を支える坂崎幸之助

この型破りな音楽性を支える要(かなめ)が、アコースティックギターとボーカルを担当する坂崎幸之助である。実家が東京都墨田区の酒屋であり、下町育ちならではの気さくで軽妙な人柄を持つ彼は、筋金入りの「ビートルズオタク」としても知られる。

坂崎のギターテクニックは日本屈指の精度を誇り、フィンガーピッキングや変則チューニングを自在に操りながら、バンドのアンサンブルに豊かなアコースティックの響きとグルーヴを与える。ラジオパーソナリティやバラエティ番組で見せる抜群の話術と親しみやすさでグループと大衆を繋ぐ一方、ステージ上では卓越した演奏力で全体のサウンドを引き締め、ALFEEの音楽的屋台骨を静かに支え続けている。

ベースを弾きながらメインボーカルを取る美声の主:桜井賢

サングラスにスーツというトレードマークで不動の存在感を放つのが、ベースとボーカルを担当する桜井賢である。

通常、ロックバンドにおいてベーシストはリズム隊として縁の下を支えるポジションであることが多いが、桜井は重厚なベースラインを弾きこなしながら、堂々とメインボーカルを務め上げる。その歌声は圧倒的な声量と艶やかさを誇り、泥臭い哀愁と気品を兼ね備えている。「メリーアン」をはじめとする数々の代表曲でフロントに立ち、伸びやかな美声で観客の耳を捉えて離さない。一見すると寡黙で硬派な佇まいでありながら、ステージトークでは茶目っ気あふれるキャラクターを見せるギャップも、ファンを惹きつけてやまない魅力である。

巻き髪と天使の変形ギター:中島みゆきもいじったハードロッカー・高見沢俊彦

そして、視覚的にも音楽的にもバンドのアイコンとして君臨するのが、エレキギターとボーカル、そして大半の楽曲の作詞・作曲を手掛ける高見沢俊彦だ。

華麗な巻き髪に煌びやかな王子様風の衣装でステージを疾走するその姿は、どこからどう見ても生粋のハードロッカー。そのあまりにゴージャスで浮世離れしたビジュアルゆえに、親交の深い中島みゆきからラジオなどで「高見沢は(衣装の下に)紐パンを穿いているに違いない」と面白おかしくいじり倒され、大爆笑を巻き起こしたことも語り草となっている。

さらに彼の代名詞といえば、ギターメーカー・ESPとタッグを組んで生み出された特注のオリジナル変形ギター群である。とりわけ翼を広げた天使を立体造形した「Flying A」や「Angel Guitar」シリーズは、楽器の概念を超えた芸術品のような威容を誇る。バランスを取ることすら困難で、普通なら弾きづらくてまともに演奏できないような極端な形状でありながら、高見沢はそれを難なく抱え、ステージ上で激しい速弾きや重厚なリフを正確無比に繰り出す。そのド派手なパフォーマンスの裏には、ESPの確かなクラフトマンシップと、高見沢自身の並外れたギタリストとしての超絶技能が宿っている。

新幹線愛が結実した楽曲提供:『シンカリオン』への熱狂

ステージ上のド派手なロックパフォーマンスとは対照的に、3人の共通した純朴な一面として広く知られているのが「無類の新幹線好き」という顔だ。

全国ツアーで日本中を新幹線で移動し続けてきた彼らは、鉄道、とりわけ新幹線に対して並々ならぬ愛着を抱いている。その熱狂的な新幹線愛が高じて実現したのが、テレビアニメ『新幹線変形ロボ シンカリオン チェンジ ザ ワールド』へのエンディング主題歌「KO. DA. MA.」の提供である。幾つになっても少年のような探求心と遊び心を忘れない3人の情熱が、疾走感あふれるロックナンバーとして結晶し、世代を超えた多くのアニメファンや鉄道ファンをも巻き込んで大きな話題を呼んだ。

バラバラの3つの個性がなぜか完璧に調和する奇跡

ビートルズを愛する職人気質のアコースティックギタリスト・坂崎幸之助。

スーツにサングラスで甘く力強い美声を響かせるベーシスト・桜井賢。

巻き髪で天使のギターをかき鳴らし、壮大な音像を紡ぎ出すハードロッカー・高見沢俊彦。

生い立ちも、好む音楽も、ステージ上のビジュアルも、本来であればひとつのバンドに同居することすらあり得ないほどバラバラな3人。しかし、彼らがマイクの前に立ち声を合わせた瞬間、世界で彼らにしか出せない完璧な3声のハーモニーが立ち現れ、ひとつの歪みもなく美しくまとまる。互いを認め合い、リスペクトを欠かさず、誰一人脱落することなく半世紀を歩み続けた絆。THE ALFEEが放つ奇跡の音楽は、3人の異なる個性がぶつかり合い、溶け合うことでしか生まれない、日本の音楽シーンが誇る最高の芸術である。

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