宇宙世紀シリーズのガンダム考察(一年戦争編)〜50代オッサンが語るリアルロボットの原点とド正論〜

Entertainment
スポンサーリンク

50代のおっさん世代にとって、ガンダムは義務教育の一環でした。

『機動戦士ガンダム』という作品は、それまでのロボットアニメの常識をすべてぶち壊した記念碑的な作品です。ガンダム作品は数多く存在しますが、作中の正史として繋がっている「宇宙世紀(Universal Century)シリーズ」の主なラインナップは以下の通りです。

  • 機動戦士ガンダム THE ORIGIN(U.C.0068〜0079)
  • 機動戦士ガンダム(U.C.0079〜0080)
  • 劇場版 機動戦士ガンダムⅠ(U.C.0079)
  • 機動戦士ガンダム MS IGLOO(U.C.0079)
  • 機動戦士ガンダム 第08MS小隊(U.C.0079)
  • 劇場版 機動戦士ガンダムⅡ 哀・戦士編(U.C.0079)
  • 機動戦士ガンダム サンダーボルト(U.C.0079〜)
  • 機動戦士ガンダム 復讐のレクイエム(U.C.0079)
  • 機動戦士ガンダム0080 ポケットの中の戦争(U.C.0079〜0080)
  • 劇場版 機動戦士ガンダムⅢ めぐりあい宇宙編(U.C.0079〜0080)
  • 機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY(U.C.0083)
  • 機動戦士Ζガンダム(U.C.0087〜0088)
  • 劇場版 機動戦士Ζガンダム(星を継ぐ者・恋人たち・星の鼓動は愛)(U.C.0087〜0088)
  • 機動戦士ガンダムΖΖ(U.C.0088〜0089)
  • 機動戦士ガンダム 逆襲のシャア(U.C.0093)
  • 機動戦士ガンダムUC(U.C.0096)
  • 機動戦士ガンダムNT(U.C.0097)
  • 機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ(U.C.0105)
  • 機動戦士ガンダムF91(U.C.0123)
  • 機動戦士Vガンダム(U.C.0153)
  • G-SAVIOUR(U.C.0223)

これらを独断と偏見を交えて解説していきます。すべて語るととんでもない文量になるため、今回は「一年戦争〜Ζガンダム手前(0083)」までの作品に絞って振り返ります。

機動戦士ガンダム(一年戦争)

言わずもがな、すべての原点です。初期オンエア時は視聴率が振るわず、途中で打ち切りを食らいました。理由は『聖戦士ダンバイン』と同じで、完全に時代を先取りしすぎていたためです。

当時のロボットアニメは『無敵超人ザンボット3』や『無敵鋼人ダイターン3』のように、正義と悪が明確に二分化されているのが常識でした。しかしガンダムは「地球連邦」と「ジオン公国」という国家間の対立であり、どちら側にもそれぞれの正義が存在します。

主人公のアムロ・レイが等身大でヘタレな少年だった点も当時の視聴者には衝撃的でした。『マジンガーZ』の兜甲児のような熱血漢とは対照的に、ブライト艦長に殴られて「二度もぶった!親父にもぶられたことないのに!」と言い放つ描写はその象徴です。

再放送を機に「戦争に絶対の正義はない」というリアルな作風がじわじわと浸透し、社会現象となるガンプラブームが勃発。人気キットを手に入れるために売れ残りのプラモと抱き合わせ販売する悪徳なおもちゃ屋が横行するなど、今ならコンプライアンス一発アウトの狂乱ぶりでした。

富野監督が「機動戦士」というスポンサー主導の冠を嫌い、英語タイトルをシンプルに「MOBILE SUIT GUNDAM」としたエピソードも含め、既存の枠組みを壊そうとしたエネルギーが詰まった作品です。

機動戦士ガンダム 第08MS小隊(泥臭い地上戦を描いたOVA)

非常にミリタリー色の濃い地上戦主体のOVAです。「ガンダム開発時の余剰パーツを寄せ集めて作った」という設定の陸戦型ガンダムなど、兵器としての説得力を持たせた発想が光ります。連邦軍の主人公シロウ・アマダが、ジオン軍のパイロットであるアイナ・サハリンと戦場で恋に落ちるというドラマ性も大きなスパイスでした。

ガンダム作品に欠かせないのが「ジオン側の渋いベテランパイロット」です。初代のランバ・ラル(「ザクとは違うのだよ!ザクとは!」「いい目をしているな、少年」の名言でおなじみ)に対し、本作ではノリス・パッカードがそのポジションを担います。

専用にチューンされたグフ・カスタムを駆り、シロウの操るEz-8(損傷した陸戦型ガンダムを現地改修した機体)を徹底的に追い詰めるノリスの「怯えろ!竦め!モビルスーツの性能を生かせぬまま死んでゆけ!」というセリフは屈指の名シーンです。性能差を腕前と戦術で覆す戦い方は、初代シャアの思想にも通じます。最終的にシロウとアイナが生き延び、山奥で密かに暮らす結末を迎えるハッピーエンド作品でもあります。

機動戦士ガンダム0080 ポケットの中の戦争(少年の視点から見た戦争の現実)

ガンダム初のOVA作品であり、ニュータイプ専用機「ガンダムNT-1(アレックス)」の破壊・奪取を目論むジオン兵バーニィと、民間人の少年アルの交流を描いた傑作です。本作から兵器開発企業として「アナハイム・エレクトロニクス」の名が登場し、世界観のリアリティがさらに強固になりました。

声優陣の豪華さも見どころです。

  • クリス(クリスティーナ・マッケンジー):林原めぐみ
  • バーニィ(バーナード・ワイズマン):辻谷耕史
  • アル(アルフレッド・イズルハ):浪川大輔(当時子役)

中学生当時に初見した際は「MS戦が少なくて地味」と感じたものの、大人になって見直すと戦争の残酷さと不条理さが完璧に描かれていることに気付かされます。「嘘だといってよ、バーニィ!」というアルの悲痛な叫びを残し、勝てる見込みのないザク改でアレックスに立ち向かい散っていったバーニィの結末を経て、一年戦争は静かに終結を迎えます。

機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY(空白の3年を埋める漢たちの死闘)

一年戦争終結後、軍縮の中で連邦軍が極秘裏に新型ガンダムを開発していたことから始まるデラーズ紛争を描いた作品です。

ちなみに私のハンドルネーム「うらきこう」は、本作の主人公コウ・ウラキから拝借しています。「メカ好き」「女にはヘタレ」「食べ物の好き嫌いが多い(ニンジン嫌い)」という人間臭い三拍子が、自分自身とあまりにも重なっているからです。

ジオン残党軍の将校アナベル・ガトーの「貴様と話す舌など持たん!」「ソロモンよ、私は帰ってきた!」といった漢臭い名セリフの数々が作品の熱量を引き上げています。

本作はメカニズム面でも後続の『Ζガンダム』へと繋がる「全天周囲モニター(360度スクリーン)」などの技術的架け橋となっており、登場する試作機(開発コードはすべて花の名前)も強烈な個性を放っています。

  • GP01 ゼフィランサス / GP01Fb(フルバーニアン)
    コア・ブロック・システムを採用した試作1号機。地上戦仕様から宇宙戦仕様へ換装された。花言葉は「清純な愛」「期待」。
  • GP02A サイサリス
    南極条約違反の核弾頭を運用する大型バズーカを装備した重装甲機。ガトーに強奪され、コンペイ島観艦式を急襲。花言葉は「偽り」「欺瞞」。
  • GP03 デンドロビウム(ステイメン+オーキス)
    モビルスーツ「ステイメン」と、巨大アームドベース「オーキス」が合体した拠点防衛用メガモビルスーツ。ビグ・ザム譲りのIフィールドジェネレーターを搭載し、ビーム兵器を無力化する圧倒的な火力を誇る。花言葉は「わがままな美人」。

デラーズ・フリートによるコロニー落としを阻止すべく現場が奔走した結末は、のちに連邦軍の軍閥「ティターンズ」の台頭を招く皮肉な歴史の転換点となりました。

初代ガンダムがロボットアニメの歴史を変えた理由

単なる勧善懲悪を排し、国家同士の対立とそこに巻き込まれる個人のエゴを描いた初代ガンダムのフォーマットは、のちの『ガンダムSEED』をはじめとする平成・令和のシリーズだけでなく、アニメ業界全体に計り知れない影響を与えました。

兵器としてのリアリズムと、人間の愚かさを容赦なく描いた富野由悠季監督の慧眼には脱帽するしかありません。次回は、さらに混迷を極める『機動戦士Ζガンダム』以降のグリプス戦役編へと続きます。

タイトルとURLをコピーしました